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プチ帝国主義政策を展開し始めた韓国

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プチ帝国主義政策を展開し始めた韓国と、それを利用する中国の真性帝国主義/佐藤 優
現代ビジネス 8月17日(金)7時5分配信

 8月10日、韓国の李明博大統領が竹島に上陸した。竹島は島根県に所属するわが国固有の領土であるにもかかわらず、韓国に不法占拠された状態にある。もっとも、「独島」(竹島に対する韓国側の呼称)は、歴史的にも国際法的にも韓国領であり、韓国が「独島」を実効支配しているので、日本との間に領土問題は存在しないというのが、従来からの韓国政府の立場だ。それにもかかわらず、歴代韓国大統領は、日本を刺激することを懸念して、竹島への上陸を差し控えてきた。李明博大統領は、最後の一線を踏み越えて、竹島上陸を決行したのだ。

 李明博大統領の任期は、来年2月までであるが、すでにレームダッグ化し、与党からも見放されている。大統領の親族が汚職で逮捕され、李明博氏自身にも司直の手が及ぶことを恐れ、ナショナリズムに訴えているという見方もある。確かにこの時期に竹島に上陸したのは、李明博大統領の個人的思惑もあるが、それを過大評価すると事柄の本質が見えなくなる。

 李明博大統領は、竹島上陸の4日後、8月14日に韓国・忠清北道の大学で講演を行い、そこで竹島上陸の意図や天皇陛下訪韓の条件について述べた。この演説に李明博大統領の意図が明確に示されている。読売新聞の記事を引用しておく。

<日本の目、私が覚まさせようと…韓国大統領
李明博大統領が忠清北道の大学で14日に行った、天皇陛下訪韓など対日関係に関する発言は以下の通り。

                    ◇◆◇

 (竹島上陸は)2、3年前から考えていたことだ。思いつきでしたことではなく、深く配慮し、(日本の反発などの)副作用がありうる点も(検討した)。日本は今や世界最高の国家ではないか。中国が大きくなったと言うが、中身を見れば日本は(世界)第2の強国だ。我々とはるかな差がある。科学技術、社会システムなどいろいろ…。(日本は)加害者と被害者の立場をよく理解していないので、(私が)目を覚まさせようとしている。

 私は、日本には(国賓としては)行っていない。シャトル外交はするが。日本の国会で私の思うままにしたい話をさせてくれるなら、(国賓訪問を)しよう。(天皇も)韓国を訪問したいならば、独立運動をして亡くなられた方々のもとを訪ね、心から謝罪すればいい。何か月も悩んで「痛惜の念」などという言葉一つを見つけて来るくらいなら、来る必要はない。

 私は2年前に訪日し、テレビ局で100人の学生らと生放送で質疑応答した。若者が「大統領は未来志向で行くと言って過去より未来に向かっていくと言うのだが、過去を全て忘れるということか」と尋ねた。私は実際にあった話をした。

 小学生だった頃、暴力的な子がいて私をよくいじめた。その子のせいで学校に行くのが嫌だった。ひどく殴られた。小学校を卒業してから40~50年たったある集まりに、この友人が来た。この友人は(自分との再会を)どれほど喜んだことか。これは私がソウル市長時代の話なのだが、私の名前を呼びながら近づいて来たので、「あいつ、俺をいじめたやつだ」との考えが頭をよぎった。この話を(若者に)した。

 加害者は忘れることができるが、被害者は忘れず、ただ許すだけだ。忘れはしない。日本の加害行為は、許すことができるかわからないが、忘れることはないと話した。うまく答えたのではないか。

 日本とは多くのことで協力していかなければならない。ただ、問いただすべきことは、ただしていかなければならない。(ソウル 中川孝之) >(8月16日、読売新聞電子版)


プチ帝国主義政策を展開し始めた李明博大統領 

 竹島上陸は、2~3年前から考えていたという李明博大統領の発言を額面通りに受けとめるべきだ。天皇陛下の韓国訪問について、<(天皇も)韓国を訪問したいならば、独立運動をして亡くなられた方々のもとを訪ね、心から謝罪すればいい。何か月も悩んで「痛惜の念」などという言葉一つを見つけて来るくらいなら、来る必要はない。>という発言をすれば、日本側から激しい反発が来ることを李明博大統領は織り込んだ上で、わざとこのような挑発的発言を行ったのである。「歴史カード」を最大限に用いて、韓国は日本との力が均衡する境界線を引き直そうとしているのだと筆者は見ている。

 過去10年、国際社会は帝国主義的傾向を強めている。帝国主義国は、相手国の立場を考えず、まず自国の要求を最大限に主張する。それに対して、相手国が怯み、国際社会も沈黙するならば、帝国主義国は自国の権益を拡大する。

 相手国が激しく抵抗し、国際社会も「ちょっとやりすぎだ」という反応をすると、帝国主義国は国際協調に転じ、妥協する。それは帝国主義国が心を入れ替えたからではない。これ以上、横車を押すと相手国や国際社会から強力な反発を受け、結果として自国の利益にならないので、国際協調に転じるのである。

                    ◇

 米国、EU(EUはドイツとフランスを核とするヨーロッパの広域帝国主義連合である)、ロシア、中国は露骨な帝国主義政策をとっている。北東アジアにおいて、中国とロシアの帝国主義政策に刺激され、韓国も同様の政策を取り始めた。しかし、客観的に見て、韓国は、北東アジアの大国であるロシア、中国と肩を並べる力はない中堅国だ。このような現状を冷徹に認識した上で、李明博大統領は、「歴史カード」を最大限に活用してプチ帝国主義政策を日本に対して展開し始めたのである。

 8月15日、「光復節」(1945年8月15日の日本の敗戦によって韓国が植民地支配を脱した祝日)の演説において、李明博大統領は竹島問題について一言も言及しなかった。しかし、このことをもって、李明博大統領の対日姿勢が軟化したと見るのは間違いだ。李明博大統領の演説に関する読売新聞の報道を引用しておく。

<【ソウル=中川孝之】韓国の李明博大統領は、日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の15日午前、ソウルで演説し、いわゆる従軍慰安婦問題について日本政府に「責任ある措置を求める」と語った。

 韓国大統領が光復節に個別の歴史問題に踏み込んで言及するのは異例で、政権末期の李大統領が今後も歴史問題で日本と争う姿勢を鮮明にした形だ。

 李大統領は演説で、「日本は我々と価値を共有する友邦だ」としつつも「歴史に絡まった鎖が未来に向かう足取りを遅らせている」と述べ、従軍慰安婦問題を提起。「2国間の次元を超えた戦時の女性人権問題であり、人類の普遍的価値に反する行為」と主張した。

 李大統領は一方で、日韓が領有権を争う竹島問題に触れなかった。李大統領は10日の竹島上陸で同島支配の意思を内外に誇示したが、日本の強い反発を招き、韓国内でも「問題を国際紛争化させた」との批判が出ている。韓国大統領府高官は、李大統領が竹島に触れなかったのは、「既に(上陸という)行動で立場を表明したからだ」としている。

 李大統領は昨年12月の日韓首脳会議以降、日本政府による慰安婦問題の解決を強硬に求め、その後の日本側の対応への不満が今回の竹島上陸の背景にあったと説明している。

 李大統領は14日、天皇陛下の訪韓の条件に朝鮮の独立運動家らへの謝罪を要求するなど、対日批判を強めている。15日の日本の一部閣僚らによる靖国神社の私的参拝に対しても強く反発するとみられる。

 対北朝鮮関係については、北朝鮮が「変化を模索しなければならない状況になった。我々はこの変化の推移を注意深く見守る」と指摘。「北朝鮮住民の人道的状況に留意しつつ、対話の門を開いている」と、金正恩第1書記に改めて対話を呼びかけた。>(8月15日、読売新聞電子版)

挑発を跳ね返す毅然たる国家意思を示すべき

 李明博大統領は、国際社会の支持を韓国に引き寄せることを意図してこの演説を行ったと見るのが妥当だ。竹島問題は、日本との二国間問題であり、一般論として、領土問題を先鋭化させることは国際関係の緊張を増すので、国際社会は領土ナショナリズムを煽る国家に対しては冷ややかな態度を取る。李明博大統領としては、竹島上陸という究極的なカードを日本に対して切ったので、「光復節」の演説であえてこの問題に触れる必要はないと考えたのであろう。

 そして、国際社会の韓国に対する同情と理解を深めることを狙って、慰安婦問題に関して新たなカードを切った。「2国間の次元を超えた戦時の女性人権問題であり、人類の普遍的価値に反する行為」と主張することによって、慰安婦問題とナチス・ドイツによるユダヤ人女性に対する虐殺、強制避妊手術、人体実験などの「戦時の女性人権問題」を同列に扱うことを李明博大統領は、目論んでいる。

 日本が然るべき対応をしないと、韓国はプチ帝国主義政策を推進する。言うまでもないことであるが、客観的に見て、日本は韓国を凌駕する国力を持つ。日本の政治エリート、国民はともに日本国家の力を過小評価する傾向があるが、国際基準で日本は米国、EU、ロシア、中国と肩を並べる帝国主義国だ。韓国のプチ帝国主義的政策を抑え込むことは、それほど難しくない。

 まず、国権の最高機関である国会が「竹島返還に関する決議」を近日中に採択することだ。それとともに、2005年に島根県が条例で定めた2月22日の「竹島の日」を、政府が後押しする全国レベルでの行事にする。韓国の挑発を跳ね返す毅然たる国家意思を、政府、国会、国民が一体となって示すことが重要である。

 同時に中国の尖閣諸島に対する戦略にも細心の注意を払う必要がある。本物の帝国主義国である中国は、韓国がプチ帝国主義政策によって竹島問題で日本を挑発している事態を最大限に活用しようとしている。8月15日、尖閣諸島に香港の活動家らが上陸したが、ここで日本政府は、尖閣問題と竹島問題のリンケージを考慮した上で、国際社会の理解を得られる外交戦略を構築する必要がある。

領土問題に関しては、

?双方が領土問題が存在していないとする場合、領土問題は存在しない
?双方が領土問題が存在するとしている場合、領土問題は存在する(北方領土に関しては、日露両国が領土問題の存在を認めている)
?一方が領土問題は存在するとし、他方が領土問題は存在しないとする場合、客観的に見て領土問題は存在する

という3つのケースが存在する。

 竹島問題に関しては?のケースに該当する。日本は領土問題が存在すると主張し、韓国は領土問題が存在しないと主張している現状を、第三者が客観的に見る場合、領土問題が存在することになる。それだから、ICJ(国際司法裁判所)への提訴を含む交渉による問題の解決を韓国に対して訴えている。

このような日本の主張は、国際的に説得力を持つ。

 尖閣問題に関し、日本は領土問題が存在しないと主張し、中国と台湾は領土問題が存在すると主張している。客観的に見れば、これも?のケースに相当する。ただし、竹島問題と正反対の立場を日本は取っている。この状況を放置しておくと、国際社会から、日本が竹島問題と尖閣問題でダブルスタンダード(二重基準)を用いていると認識され、日本の誠実さが疑われる危険が存在する。この危険を回避するための外交戦略を外務省が考えているとは思えない。

 結果として、尖閣の主権を維持し、竹島の主権回復を図る外交戦略を政治主導で構築する必要がある。中国が、尖閣諸島の領有権を主張してきた場合、日本は恐れることなく交渉に応じるという方針に転換すべきだ。そして外交交渉の場で日本が中国に対して、「歴史的にも国際法的にも尖閣諸島が日本領である」と毅然と主張し、これを国際社会に対して発表すべきだ。

 中国は、「日本が尖閣諸島に関する領土問題の存在を認めた。中国外交の勝利だ」というキャンペーンを展開するであろうが、恐れる必要はない。尖閣諸島に「関しても、竹島に関しても、日本政府、外務省は、逃げ腰の姿勢ではなく、外交交渉の場で日本の立場を理路整然かつ毅然と主張することがわが国益に適う。

記事元:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33295

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佐藤優(さとう まさる)

【佐藤優】李明博は歴史に名を残したい
H.24.8.16
http://www.youtube.com/watch?v=yV7oCEX8rm0&feature=relmfu


【佐藤優】武力で日本は中韓に勝てる
H24.8.16
http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&v=uBrQIZX71Sc&NR=1


【佐藤優】親書返送を国際社会へ伝えよ
H.24.8.23
http://www.youtube.com/watch?v=ML4D57QI4pA


『くにまるジャパン』8月17日放送分〈佐藤優〉 竹島・尖閣問題
http://www.youtube.com/watch?v=RbRIZ52ivLM&feature=related



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